早さ、品質、柔軟性

最近ナイロン・マルチの張替えがあって、張ってある使用済みガットのテンションを測る機会がありました。38P…相当低い。テンション維持性が良いとされるマルチなので、テンションシールは張ってませんでしたが、44P程度で張らないと、こうはならない。

それ以降、テニスコートでマルチ使われている方をを見かける度にテンションを測らせてもらいました。37P(テンションシールには50Pとあり)。??クランプ滑ってる?

ちょうど、クランプの滑りが一目で分かる透明マルチのBabolat Addictionを仕入れた折、この辺の闇を攻めてみます!

写真の通り、滑らないようにガッツリ・クランプ(強烈に挟む)しました。少しでもクランプ緩いとガット自体は滑っていなくても、白い繊維接着の解れた部分が広がっていきます。数本張ってみましたが、結果マシンのテンション設定からは+3P前後しか上昇しない…低い。通常なら、

  • ナイロン・モノで、+7ポンド前後
  • ポリエステル・モノで、+4ポンド前後

張り上がり直後はテンションが上がります。同じナイロンならば+7P前後上がるはず。ガッツリ・クランプで滑ってはおりません。

そこでガットの構造です。モノフィラメントでは、クランプが芯を掴むので滑りませんが、マルチは極細の繊維束を接着剤で硬め、被覆で被われた構造をしているため、芯を掴めない(外側押さえても伸縮繊維が動く(戻る))のです。

クランプが原因でガットの性能が落ちたり切れたりすることはないので、ガット張りDADAでは強めにクランプしています。それよりも、この構造的滑りでテンションが毎回バラバラになった方が困ります。しかし、ガッツリ・クランプしていないであろうショップでは「マシン50P→内部滑りで43P→その後緩み劣化で37P」が蔓延しているのではないでしょうか。

「マルチフィラメントは柔らかい」の通説は、案外、張り上がりテンション自体が上がっていない状態の寄与が大きいのかも。張り上がりテンションを管理していないショップで注文される際は、この内容を踏まえてモノフィラメント使用時のテンションから5P前後、上乗せして注文されるのも一考です。また、ハイブリッドの半面に使用される場合などは、モノとマルチのテンション設定バランスもストリンガーの腕次第で変形に効いてくるので要注意。

実際、お手頃マルチのDUNLOP HEXY FIBERもテンション上がってこないで散々悩み、経験的に5Pアップで使えていますが、このような被覆と芯の滑り問題があったのでしょう。納得しました。

参考元「ガットの裏性能」ガットとラケットとテニス

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