早さ、品質、柔軟性

2018年に「テンション測定続けて分かること」を執筆して5年が経ちました。たかだか200本程度で分かった気になっていて恥ずかしい限りです。今は4000本ほど張り測定し確信を掴みつつありますので、「その2」として投稿させていただきます。

ポリは高テンションすぎると腰抜けする

ポリエステルは高すぎるテンションで引くと降伏点を超え弾力がなくなります。ストリングマシンが「ウイ~ン、ググッ」と止まるところで、「ウイ~ン、ググ、グーン」と腰が抜けたように伸びてしまいます。
物によりますが、およそ55ポンドオーバーからヤバくなり、そして細いポリほど降伏点が低い傾向があります。張りあがりで通常よりテンション低く仕上がりが出ます。

ポリプラズマの裏面にもテンション低めに張るように記載されています。

「Attention: Because of the very low tension loss for a long time it is recommended to string with ~ 10% less tention than usual polyester or nylon strings.」

痩せると上がる、太ると下がる

フレームを原形に戻すことがガット張りの「命」ですが、うまく張らないと痩せたり太ったり変形して失敗仕上がりとなります。この失敗張りはテンションにも影響を及ぼし、

  • 痩せて細長く仕上がった場合→ テンションが異常に高くなります
  • 太って縦方向が縮んだままの場合→ テンションが低めになります

ちゃんと仕上がれば、引いたテンションより若干高めに仕上がります。これは毎回計測していなければ分かりにくいです。

ガット張り作業中のテンションの変化については、以下にバッチリまとまっています。

測定アプリ「RacquetTune」作成者のサイトです。

String Machine vs Racquet Tension

非常によくまとめられており、ガット張り最中のテンション変化が理解できます。

グロメットの状態でテンションが変わる

冬季の室内やバドミントンラケットではあまり差はでませんが、硬式のクレーコート等で使用した場合、またはシリコンスプレー等をストリング面に吹き付けたり、ソフトテニスのベタベタワックスでストリングマシンがヌルヌルになっている状態などでは、ガット張り中のグロメット内の摩擦に結構差が出ます。

横糸を引く際の縦糸×横糸の摩擦も効いてきますが、ガット張りは構造上、右図のようなU字を介して引っ張ぱることで、グロメット穴内の摩擦が大きく変化します。
埃でザラザラなのと、シリコンツルツルでは張りあがりテンションが2ポンド前後差が出ることがあります。

もちろん綺麗に掃除して、緩み取りもしっかり行いますが穴内の微妙な摩擦差は残ってしまう場合があります。

ハイブリッド張りは落ち幅大

ポリ×ナイロンのハイブリッドを例にあげます。

緩む(伸びる)スピードはポリ>ナイロンですので、時間とともに縦か横かポリを張った側が伸びていきます。→ラケットのポリ軸が長くなり、ナイロン側の軸が縮むことになります。(フェイスが縦長か、横長の形状に変形します)

つまり、縦横の緩むバランスの違いからラケットが変形し、上記「String Machine vs Racquet Tension」によりますと1mm動くと4ポンド落ちるといわれてますので、フェイスの変形によって短くなったナイロン長で大きなテンション低下が発生します。

ハイブリッドで使用後、新規張り替え前に測定した経験では、単一張りよりも5ポンド以上下がっていることがほとんどでした。

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