早さ、品質、柔軟性

基本はYONEX推奨50-50

  • 軟式ラケットは逆水滴型(逆三角形)が多くフレームが柔らかです。これは変形の傾向として、①トップ アーチが落ち込む、②上部2時10時が太る、③下部4時8時が痩せる、といった癖があります。
  • NEXIGA 70Sのような硬式ラケットに比較的近いボックス形状では、上部と下部は比較的バランスよく連動(下が痩せると上も痩せる)するので後工程で補正できますが、逆水滴型ではあまり連動してくれません。
  • そこで、上部と下部にテンションの上げ下げで変形対策を講ずるのですが、変形癖が真逆のため、以下のとおり逆側の変形が悪化する働きがあります。張り作業後半に連動で整えるのは難しいです。
変形 対策 結果
トップ側 太りやすい 絞る ボトム側が痩せてしまう
ボトム側 痩せやすい 緩める トップ側の太りが残る
  • ソフトテニス用ストリングにはGOSENミクロパワーに代表される「表面コーティングがデリケート」なストリングが存在します。横糸が縦糸の中を編まれる際はストリング同士が擦れるので、摩擦は小さくかつ引き回す長さは短い方が好ましいです。

トップアーチを落とさない

ガット張りは縦糸を先に張りますが、逆水滴型の場合トップフレームがフラットに近いため落ち込み(潰れ)やすく、これは上部の太りの原因の一つになりますので、以下のようにサポートセットに配慮します。

 

(2022.1.28 追記)

何度か検証した結果、トッププレームの落ち込み対策には、左図のとおり上側サイドサポートをなるべくセンター付近まで下げた方が太り変形を押さえることができ、結果落ち込み防止にも効きます。

(2022.9.28 追記)

センター付近までではなく、ラケットの最も幅のある位置。そこが最も太るので押さえると効きます。逆水滴型ではセンターより少し上になります。

 

横糸中央から張り分ける

各メーカで推奨する張り方がありますが、YONEXの中央からの張り分け(50-50)を基本にします。これは上記の軟式ラケットの特性に対し、以下のようなメリットがあります。

  1. トップ側、ボトム側の不連動に別々に効かせることができ、耐変形性ではベスト。
  2. 最も締め上げることができる最終テンション負荷をトップ外側に向けて上げられるので、落ち込んだアーチの復元に効果的。
  3. 中央(ヒッティングポイント)のストリングが、引き回しの摩擦をあまり受けずに編めるため、コーティングのダメージが最小限に抑えられる。
  4. 二本張りでストリングの引き回しが短いため、床のゴミが付きにくい。ww
  5. 初期の頃はソフトテニスに対してもATWやJ’sBOXといったトップ側からの複雑な張り下ろしを試みておりましたが、①トップ側の変形問題、②縦糸高低段差の中べたべたコーティングを編み進めて行く作業性の悪さ、から不採用としました。

— テンション配分や張り方は個別実績をみながら日々研究しています —

 

タイオフはダブルノット

ヌルヌルしているものが多いので摩擦の大きいダブルノットにしています。フレア加工の皿内にしっかり収納します。ノットが大きくホールへの落ち込みもありません。タイオフグロメットの変形を最小限にし長持ちさせます。